「妃に相応しくない」と言われた私が、第2皇子に溺愛されています

第九章 セレナの信じる想い

聖女ティアナとの浄化が成功するたびに、カイル殿下への期待は、日に日に高まっていた。

「次代の皇太子は、第2皇子カイル様では──」

そんな声が、いつしか私の耳にも届くようになっていた。

お妃教育を終えたその日、私は迎えに来るはずのカイルを、ひとりで待っていた。

けれど──約束の時間を過ぎても、彼は現れない。

不安になった私は、そっと、宮殿の奥へと足を踏み入れた。

決して、出過ぎた真似をするつもりはなかったけれど。

ただ、カイルの姿を、少しでも早く見つけたくて──。

そして──

静かな回廊の先、開け放たれた部屋の中に、その姿を見つけた。

カイルと、第一皇子クラウディオ殿下が並んで座っていた。

並ぶ二人は、どこか似ていた。母が違うというのに、不思議なほどに。

柔らかく笑ったときの面差しが、特に。

けれど──その笑顔の奥にある空気は、決して穏やかではなかった。

「最近は、皇太子にカイルを推す声が多くなっている。」
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