「妃に相応しくない」と言われた私が、第2皇子に溺愛されています

第十章 二人で結婚へ

しばらくして、私の屋敷に来たカイルは、いつになく落ち着きがなかった。

「……あれ? カイル?」

ふと視線を向ければ、立ったり座ったり、部屋の中を落ち着きなく歩き回っている。

いつも凛として頼れる彼とは、まるで別人。

「ねえ、どうしたの? そんなにそわそわして……」

声をかけても、「うん」と短く答えるだけで、また数歩うろうろするだけ。

──これは絶対、何かある。

そう思っていると、ノックの音がしてドアが開いた。入って来たのは、私の父。

「どうでした? カイル殿下」

「……あっ、まだですっ」

「えっ⁉」

私の声が裏返る。

二人して、何をこそこそ話していたの⁉

カイルが顔を真っ赤にして、ちらりと私を見た。

「なあに? 二人で何たくらんでるの? 教えてよ」

そう言って腕を組むと、父はおかしそうに笑いながら言った。

「お前の婚約者が、今日こそ“けじめをつけたい”そうでね。ちゃんと自分の口から聞いてやれ、セレナ」

「けじめ……?」
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