「妃に相応しくない」と言われた私が、第2皇子に溺愛されています

第二章 復讐のための婚約

そして、翌日。

カイル殿下が、我がルヴァリエ家の屋敷に現れた。

「久しぶりです。」

玄関ホールに現れた殿下に、父と母は目を見張る。

第2皇子の突然の訪問など、そうあることではない。

「こ、これは……これはこれは、カイル殿下……!」

「本日は、いったいどのようなご用事で……?」

かつて父が王国の文部大臣を務めていた頃、我が家と殿下の縁は深かった。

けれど、あれから数年。今や私たちは、対等に言葉を交わせる立場ではない。

それでも、殿下はいつも通りの笑みで口を開いた。

「セレナ。おいで。」

その声に名を呼ばれた私は、驚きながらもしずしずと歩み寄る。

カイル殿下の隣に立ったとき──

「っ……!」

彼は、なんとその場で片膝をついた。

「殿下⁉」

母の叫びにも似た声が響く。

父は息を詰め、使用人たちのざわめきが遠くから聞こえた。
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