「妃に相応しくない」と言われた私が、第2皇子に溺愛されています

第四章 揺れる心と溺愛の兆し

その日は、私の誕生日だった。

朝から落ち着かない気分で、きっと今日は宮殿に伺うのだと思っていた。

けれど、予想に反して──カイル殿下が、私の屋敷に直接いらしてくださったのだ。

「カイル殿下、来てくださってありがとうございます……!」

少し緊張気味に頭を下げると、カイル殿下はふっと微笑んだ。

「こっちこそ。今日という日に、君に会えないなんて我慢できなかったからね」

そして、背中に隠していたものを、すっと私の前に差し出した。

「セレナ、誕生日おめでとう」

「うわあ……」

思わず声が漏れた。

両腕いっぱいの白い花のブーケ。

ふんわりと香る、やさしい匂いに胸がいっぱいになる。

「セレナは、白い花が好きだっただろ?」

──そう。

幼い頃、いつも庭で摘んで私に手渡してくれたのも、決まって白い花だった。

カモミール、マーガレット、白い薔薇……

忘れていなかったんだ。
< 48 / 142 >

この作品をシェア

pagetop