魔物の森の癒やし姫~役立たずスキル《ふわふわ》でちびっこ令嬢はモテモテです~
第1話 スキル鑑定
リュミ・フォルステアは、神殿にある祝福の間の真ん中に立っていた。
大理石の床には、繊細な紋様が金と青の糸で編まれたように広がっている。
その中心に、一歩も動けずに立つ尽くす少女の姿。
年端もいかない彼女にとって、この空間はあまりに広く、あまりに冷たかった。
全身を包む純白のドレスは、格式ある家の証。
細い腕や華奢な肩をやわらかく包み込み、そのひとつひとつの刺繍に至るまで、職人の技と愛情が詰め込まれている。
リュミの銀の髪は丁寧に梳かされ、滑らかに背中を流れ落ちている。
神殿の高窓から差し込む光が、まるで祝福するようにその髪を照らす。
誰が見ても、貴族の姫君にふさわしい姿。
けれど、その見た目とは裏腹に、リュミの小さな体は張り詰めた空気に押しつぶされそうになっている。
(どうしてこんなにさむいんだろう……)
気温はそれほど低くないはずなのに。
冷え切った視線、押し黙った空気、そして期待と不安が入り交じる空間の圧に、リュミの鼓動は小鳥のように速くなる。
目の前に立つ神官が、銀の杖の先を床に軽く突いた。
杖の先端に埋め込まれた青紫の宝石が、淡く明滅する。
その光が天井の模様に反射し、部屋全体が幻想的な雰囲気に包まれる。
「スキル鑑定の結果を申し上げます」
朗々とした声が、高い天井に反響する。
誰かの息を呑む音が聞こえた気がする。いや、たぶん気のせいじゃない。
「リュミ・フォルステア殿。あなたの固有スキルは《ふわふわ》でございます」
「……え?」
大理石の床には、繊細な紋様が金と青の糸で編まれたように広がっている。
その中心に、一歩も動けずに立つ尽くす少女の姿。
年端もいかない彼女にとって、この空間はあまりに広く、あまりに冷たかった。
全身を包む純白のドレスは、格式ある家の証。
細い腕や華奢な肩をやわらかく包み込み、そのひとつひとつの刺繍に至るまで、職人の技と愛情が詰め込まれている。
リュミの銀の髪は丁寧に梳かされ、滑らかに背中を流れ落ちている。
神殿の高窓から差し込む光が、まるで祝福するようにその髪を照らす。
誰が見ても、貴族の姫君にふさわしい姿。
けれど、その見た目とは裏腹に、リュミの小さな体は張り詰めた空気に押しつぶされそうになっている。
(どうしてこんなにさむいんだろう……)
気温はそれほど低くないはずなのに。
冷え切った視線、押し黙った空気、そして期待と不安が入り交じる空間の圧に、リュミの鼓動は小鳥のように速くなる。
目の前に立つ神官が、銀の杖の先を床に軽く突いた。
杖の先端に埋め込まれた青紫の宝石が、淡く明滅する。
その光が天井の模様に反射し、部屋全体が幻想的な雰囲気に包まれる。
「スキル鑑定の結果を申し上げます」
朗々とした声が、高い天井に反響する。
誰かの息を呑む音が聞こえた気がする。いや、たぶん気のせいじゃない。
「リュミ・フォルステア殿。あなたの固有スキルは《ふわふわ》でございます」
「……え?」
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