魔物の森の癒やし姫~役立たずスキル《ふわふわ》でちびっこ令嬢はモテモテです~
第22話 子どもたちのお願い
村と畑をつなぐ道をふさいでいた蜘蛛の巣の件が解決してから、幾日かが過ぎた。
森の奥にいるという魔物に新たな動きはない。ぴたりと静まりかえったその気配は、逆に不気味なほどだ。
エルドの話では、むやみに刺激を与えるのは得策ではない──とのことだった。
だから、リュミはこれまで通り、穏やかに過ごしている。
そんな中、変化が起きた。
「リュミおねえちゃーん!」
パタパタと軽やかな足音とともに、数人の子どもたちがリュミのもとへ駆け寄ってくる。
リュミより少し年下の、まだ幼さの残る子どもたちだ。
おそらく、あの蜘蛛の巣の一件を聞いたのだろう。村の大人たちが、うわさ話のように話していたのかもしれない。
あれ以来、リュミのことをすごいおねえちゃんとして慕ってくれるようになり、こうして遊びに来るようになったのだった。
本来なら、今のような状況で子どもを森で遊ばせるのは避けるべきだ。
森に潜む異常のことを考えれば、すぐにでも家に帰すべきなのはわかっている。だけど──。
(この目で見つめられると……)
キラキラとした瞳が、まっすぐに自分を見上げている。
「帰りなさい」と口にするのは、どうしても難しい。
「どうしたの?」
リュミがやわらかく問いかけると、子どもたちは我先にと言わんばかりに口を開いた。
「遊び場にね、変な虫がいるんだ!」
「ぶんぶん飛んでて、近づけないの!」
「大人に言ったけど、そのうちいなくなるよって……」
「でも、ほんとにこわいんだもん……」
森の奥にいるという魔物に新たな動きはない。ぴたりと静まりかえったその気配は、逆に不気味なほどだ。
エルドの話では、むやみに刺激を与えるのは得策ではない──とのことだった。
だから、リュミはこれまで通り、穏やかに過ごしている。
そんな中、変化が起きた。
「リュミおねえちゃーん!」
パタパタと軽やかな足音とともに、数人の子どもたちがリュミのもとへ駆け寄ってくる。
リュミより少し年下の、まだ幼さの残る子どもたちだ。
おそらく、あの蜘蛛の巣の一件を聞いたのだろう。村の大人たちが、うわさ話のように話していたのかもしれない。
あれ以来、リュミのことをすごいおねえちゃんとして慕ってくれるようになり、こうして遊びに来るようになったのだった。
本来なら、今のような状況で子どもを森で遊ばせるのは避けるべきだ。
森に潜む異常のことを考えれば、すぐにでも家に帰すべきなのはわかっている。だけど──。
(この目で見つめられると……)
キラキラとした瞳が、まっすぐに自分を見上げている。
「帰りなさい」と口にするのは、どうしても難しい。
「どうしたの?」
リュミがやわらかく問いかけると、子どもたちは我先にと言わんばかりに口を開いた。
「遊び場にね、変な虫がいるんだ!」
「ぶんぶん飛んでて、近づけないの!」
「大人に言ったけど、そのうちいなくなるよって……」
「でも、ほんとにこわいんだもん……」