魔物の森の癒やし姫~役立たずスキル《ふわふわ》でちびっこ令嬢はモテモテです~

第4話 保護されて

 リュミは目を閉じたまま、うつらうつらと浅い眠りの中にいた。
 体の奥底からじんわりと痛みが広がり、特に足の疲れは容赦なく押し寄せてくる。

 おそらく、スキルを使った反動だろう。
 まぶたを開けることすら、ままならない。

(……ここ、どこ……?)

 うっすらと感じる光の気配。
 その揺らぎは、日の光が差し込んでいるのか、それとも室内の灯りなのか。

 やがて、 リュミは重たいまぶたを少しずつ持ち上げた。

 目に飛び込んできたのは、見たことのない天井。
 横に顔を傾ければ、床には積み上げられた本の山。
 壁際には使い込まれた机と椅子が置かれており、どこか懐かしさを感じさせる。

「……ん……」

 ぼんやりとした意識の中で、記憶のかけらが徐々に浮かび上がってくる。
 そうだ。リュミは森の中で魔物に襲われ、スキルを使って……そのまま倒れたのだ。

 そのとき──。

 バリーンッ!

 鋭い音が響く。
 ガラスが砕け散る音に似ているけれど、そうではない。

 リュミの体が瞬間的に反応する。目を見開き、頭の奥に記憶が蘇る。

(これ……結界が、砕ける音……!)
< 17 / 215 >

この作品をシェア

pagetop