魔物の森の癒やし姫~役立たずスキル《ふわふわ》でちびっこ令嬢はモテモテです~
第5話 狼魔物のパッロ
伸ばした手が、白くやわらかな毛並みにそっと触れる。
その瞬間、指先がふわりと沈み、思いがけないほどのぬくもりが肌に伝わってきた。
その温度は、信じられないほどやさしい。
天吼の白獣は、リュミの指先を受け止めるように、わずかにまぶたを伏せた。
耳が小さく動き、鼻先からゆっくりと息が漏れる。
天吼の白獣の体からは、わずかな緊張が感じ取れた。
まるで、自分が少しでも動けばリュミを傷つけてしまうと考えているかのように、息を殺している。
けれど、不思議と逃げようとする気配はまったく感じられなかった。
ただただ、そこにいてくれる。リュミの、目の前に。
「……あったかい……」
ぽつりとこぼれたリュミの声は、自分でも驚くほど微かで、掠れていた。
けれどその震えは、恐れや怯えからくるものではない。胸の奥がじんわりと満たされていくこの感覚に、張り詰めていた全身の力が少しずつほどけていくのを感じる。
(会えた……)
目を覚ましたときから感じていた、不安の正体。
自分でもわからなかった、なにか足りない感覚が、今ようやく満たされていく。
このぬくもりを、リュミは求めていたのだ。
「あなたは……私のこと、守ってくれてたんだよね」
問いかけても、天吼の白獣は言葉で答えなかった。
それでも、その金色の瞳はまっすぐにリュミを見つめ、逸らさない。
深く、やさしく、そしてどこか寂しさを帯びた光が、リュミの瞳の奥へ静かに届く。
ふと、リュミの中にひとつの想いが浮かぶ。
この存在を呼びたい。名前で、ちゃんと。心から。
その瞬間、指先がふわりと沈み、思いがけないほどのぬくもりが肌に伝わってきた。
その温度は、信じられないほどやさしい。
天吼の白獣は、リュミの指先を受け止めるように、わずかにまぶたを伏せた。
耳が小さく動き、鼻先からゆっくりと息が漏れる。
天吼の白獣の体からは、わずかな緊張が感じ取れた。
まるで、自分が少しでも動けばリュミを傷つけてしまうと考えているかのように、息を殺している。
けれど、不思議と逃げようとする気配はまったく感じられなかった。
ただただ、そこにいてくれる。リュミの、目の前に。
「……あったかい……」
ぽつりとこぼれたリュミの声は、自分でも驚くほど微かで、掠れていた。
けれどその震えは、恐れや怯えからくるものではない。胸の奥がじんわりと満たされていくこの感覚に、張り詰めていた全身の力が少しずつほどけていくのを感じる。
(会えた……)
目を覚ましたときから感じていた、不安の正体。
自分でもわからなかった、なにか足りない感覚が、今ようやく満たされていく。
このぬくもりを、リュミは求めていたのだ。
「あなたは……私のこと、守ってくれてたんだよね」
問いかけても、天吼の白獣は言葉で答えなかった。
それでも、その金色の瞳はまっすぐにリュミを見つめ、逸らさない。
深く、やさしく、そしてどこか寂しさを帯びた光が、リュミの瞳の奥へ静かに届く。
ふと、リュミの中にひとつの想いが浮かぶ。
この存在を呼びたい。名前で、ちゃんと。心から。