魔物の森の癒やし姫~役立たずスキル《ふわふわ》でちびっこ令嬢はモテモテです~
第19話 追い出された魔物
いつもなら軽やかな朝の空気に包まれている、村と畑をつなぐ小道。
小鳥たちのさえずりが心地良く、木々の葉擦れがやさしい調べを奏でている。草のにおいが鼻をくすぐり、朝露を含んだ土のにおいが足元から立ち上る。
この道を歩いていると、気持ちがふわりと軽くなって、肩の力が抜けていく――そんな場所だった。
だけど、今日は違った。明らかに、いつもとは違っていた。
リュミたちの前に広がっていたのは、白い糸を編んで作られた巨大な壁。
まるで誰かが気の遠くなるような時間をかけて、丁寧に、そして執拗に編み込んだかのような、繊細で異質な障壁。自然の中にあるべきではない、違和感の塊のような存在。
いや、これは――蜘蛛の巣だ。
朝の日差しを浴びたその糸は、ギラギラと金属のような不気味な輝きを放っている。
風が吹くたびにかすかに揺れ、まるで生き物のように脈動していた。
道全体をすっぽりと覆い隠し、「ここから先は通るな」と無言で告げているように、どこか冷たい意志すら感じさせる。
「……これは」
エルドが足を止め、眉をひそめる。
その目には、ただの驚きだけではない、鋭く、探るような光が宿っている。
「すごい……おっきい……」
リュミは思わず息を呑んだ。
自分の背丈どころか、村の門よりも高く広がるその白い壁は、圧倒的で、言葉を失うほど。
今まで見てきたどんな蜘蛛の巣とも違う。森で見かけるような巣ではない。
これは、異常だ。
糸は異様なほど太く、しかも艶やかに光っている。
その太さはリュミの指ほどもあり、とても糸とは思えなかった。
まるで木の根が蔓のように、重々しく絡まり合っている。
見るだけで、肌に粘りつくような嫌な感触が想像できる。
小鳥たちのさえずりが心地良く、木々の葉擦れがやさしい調べを奏でている。草のにおいが鼻をくすぐり、朝露を含んだ土のにおいが足元から立ち上る。
この道を歩いていると、気持ちがふわりと軽くなって、肩の力が抜けていく――そんな場所だった。
だけど、今日は違った。明らかに、いつもとは違っていた。
リュミたちの前に広がっていたのは、白い糸を編んで作られた巨大な壁。
まるで誰かが気の遠くなるような時間をかけて、丁寧に、そして執拗に編み込んだかのような、繊細で異質な障壁。自然の中にあるべきではない、違和感の塊のような存在。
いや、これは――蜘蛛の巣だ。
朝の日差しを浴びたその糸は、ギラギラと金属のような不気味な輝きを放っている。
風が吹くたびにかすかに揺れ、まるで生き物のように脈動していた。
道全体をすっぽりと覆い隠し、「ここから先は通るな」と無言で告げているように、どこか冷たい意志すら感じさせる。
「……これは」
エルドが足を止め、眉をひそめる。
その目には、ただの驚きだけではない、鋭く、探るような光が宿っている。
「すごい……おっきい……」
リュミは思わず息を呑んだ。
自分の背丈どころか、村の門よりも高く広がるその白い壁は、圧倒的で、言葉を失うほど。
今まで見てきたどんな蜘蛛の巣とも違う。森で見かけるような巣ではない。
これは、異常だ。
糸は異様なほど太く、しかも艶やかに光っている。
その太さはリュミの指ほどもあり、とても糸とは思えなかった。
まるで木の根が蔓のように、重々しく絡まり合っている。
見るだけで、肌に粘りつくような嫌な感触が想像できる。