二度と恋はしないと決めたのに~フライトドクターに娘ごと愛されました~
5章
翌日の日曜日。今日は櫂が午後四時には上がる予定だというので、千咲は久しぶりに手の込んだ料理をしようと意気込んでいる。
昨夜は中途半端なところで話が終わってしまったため、今日は彼とゆっくり話がしたかった。
櫂は家族になりたいと、千咲を好きだと言ってくれた。
突然の再会に戸惑うばかりの千咲とは違い、彼は真摯に気持ちを伝え、千咲の信頼を得ようと努力してくれている。
だからこそ自分もそろそろ覚悟を決め、彼に素直な気持ちをぶつけなくては。
打診された海外派遣の話を断った理由を聞き、千咲の櫂に対する想いを告げるのだ。
(櫂さんが好き。叶うのなら、この先もずっと一緒にいたい)
二度と恋はしないという誓いを破ることになってしまったが、自分の心に嘘はつけなかった。
けれど、紬のことを第一に考えるというのは変わらない。
たとえ櫂に想いを受け取ってもらえたとしても、決して彼女のことを蔑ろにはしない。それはきっと櫂も同じ気持ちのはず。そう信じられるからこそ、彼との未来を描けるのだ。