二度と恋はしないと決めたのに～フライトドクターに娘ごと愛されました～

４章

櫂と病院の中庭で再会し、すべては千咲の勘違いだったと知った二日後。

【次の日曜、丸一日休みがとれそうなんだ。三人でどこかに出かけないか】

そのメッセージに気付いたのは、寝室で紬を寝かしつけてリビングに戻った直後。連絡先を交換したばかりの櫂の名前がポップアップに表示されており、それを見た瞬間、身体がびくっと小さく跳ねた。

思わぬ提案に、千咲はその一文を何度も読み返す。

「三人でお出かけ⋯⋯？」

盛大な勘違いをして一方的に連絡を絶ち、勝手に子供を生むという暴挙ともいえる行いをした千咲に、櫂は誠実に向き合おうとしてくれている。

彼は既婚者ではなく、あの電話の相手は未依だったと聞かされた時は血の気が引いた。

どれだけ詰られても仕方がないと覚悟を決めたが、櫂はひとつも千咲を責めない。それどころか、紬を生んだことを感謝し、家族になりたいとまで言ってくれた。

（紬の命を諦めないでくれてありがとう、なんて⋯⋯。すごく櫂さんらしい）