涙のあとに咲く約束

第四章　告白と拒絶

　帰宅後、私はスマホで当時の事故のことを調べた。
　すると、人が二人も亡くなっているのに、ネットニュースの記事は数件しか取り上げられていない

　全ての記事に目を通してみたけれど、そこには、藤堂さんのお母さんから聞いた内容と同じことしか書かれていなかった。

　突然の事故で、大切な家族を失った当時の藤堂さんや真一くんのことを思うと、やりきれなかった。

　　　＊　＊　＊

　それから数日後、私は再び藤堂家で食卓を囲んでいる。

　真一くんが藤堂さんに「おねえちゃんにあいたい」と言ってくれているらしく、最近は毎週金曜日、週一のペースで藤堂さんの家にお邪魔しているのだ。

　藤堂さんの背中を、私はただ見つめていた。
　台所の照明が彼の肩を淡く照らし、その影が床に長く落ちている。ＩＨヒーターの上ではお湯が小さく沸き立ち、時折ポコポコと音を立てた。
　
　時刻は二十一時を回っている。

　真一くんはごはんを食べ終えると、リビングのテレビでサブスク配信されているアニメを見ていたけれど、今日は保育所の遠足でたくさん外遊びをしたらしく、いつの間にかソファーの上で眠っていた。
　
　こんな日常の光景を、ずっと見ていられたら……
　この場にずっと、私も溶け込むことができるなら……
　そう思ってしまう自分が、怖かった。

「……藤堂さん」
　
　呼びかけると、彼はお湯を注いでいたマグカップから視線を上げ、振り返った。
　
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