仏の顔も三度までですわ！愛人と夫のツケ、すべて返していただきます

愛人からの嫌がらせ

別邸に来て１週間。
私は今までのような生活ができないことを思い知らされた。

毎日のようにシェリーナからの嫌味攻撃が来る。
別邸は外部の人間が足を踏み入れないため、自分の存在を隠す必要がなくなったシェリーナはやりたい放題だ。
屋敷のときは、いつどのタイミングで事情を知らない外部の人に話を聞かれるかわからないから、シェリーナをできるだけ隠し、私とも会わないようにしていたんだろう。
デルバートもシェリーナに愛情表現する時と場所をかなり気をつけていた。
その反動なのか、とにかくシェリーナからの攻撃が激しい。

もちろん、顔を合わせないようにできるだけ自室で過ごしている。食事も３食自室にしてもらった。
外に出るのは屋敷関係の仕事のときと、運動不足解消と気分転換を兼ねた散歩のときくらいなのに、シェリーナはまるで待ち構えているかのように現れ、そして礼儀正しく挨拶をしてから嫌味と皮肉を吐き捨てていくのだ。
一例を紹介しちゃおうかな。

「政略結婚って心を通わせる必要がないからお気楽ですわね。私なんて、毎日デルバートのことばかり考えて胸が苦しいんですのよ」

「デルバートはそんな私の愛に一生懸命応えてくださるの。昨夜なんて…。いえ、アリステラ様には関係ないことですよね」

「悪阻はつらいですが、デルバートとの愛の結晶がお腹の中に宿っていると思うと、心の底から幸せな気分になれますの」

「アリステラ様は女の幸せを知らないまま一生を終えるのですね。なんてお気の毒なのでしょう」

「私には愛のない政略結婚なんて耐えられませんわ。アリステラ様ってお心がひんやりされているのね」

「先日は驚きましたわ。デルバートのあんなに怖い顔を見たのは初めてですもの。私にはいつも優しい笑顔ばかり向けてくれますの」
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