仏の顔も三度までですわ!愛人と夫のツケ、すべて返していただきます
第三章 仏の顔3回目

第一子誕生

シェリーナが臨月に入ったころ、私はデルバートに呼び出された。
なにを言われるのか気が重い…。
できれば行きたくない…。
別邸生活も終盤に入り、私はすっかりネガティブになっていた。
だって…、毎日毎日毎日毎日シェリーナの嫌味を聞き続けていたんだから…。

鬱々とした気持ちで、指定されたデルバート専用の執務室に辿りつく。
意を決して扉をノックすると「入れ」と威圧的な声が返ってきた。

「失礼いたします」

扉を開けると、ソファに座るデルバートと、その隣にシェリーナがいた。
私はソファでくつろぐ2人から少し離れた位置に立つ。
デルバートは「座れ」とは言わない。
シェリーナによって「アリステラは裏では陰険」と吹き込まれたデルバートは、私を嫌い、まるで奴隷のように邪険に扱うのだ。

「シェリーナも臨月だ。いつ出産になってもいい時期に入った。
だから、君にこれからの流れを伝えておこう」

そう言って、デルバートは愛おし気にシェリーナを見つめた。
シェリーナも嬉しそうに見つめ返している。
私は無言で話の続きを待った。

「子どもが生まれたら公表し、次の日にパーティーを開催する予定だ。
もちろん、出産直後だから母子不在で行う。
子どもの披露パーティーはそれから1ヶ月後、そのときは君にも参加してもらうから、そのつもりでいてくれ。
披露パーティー後から、生活は屋敷に戻す」

「承知いたました」

「以前も説明したとおり、子どもはシェリーナが乳母として育てる。
シェリーナの希望で君が育児放棄したことにする。君はできるだけ子どもに関わらないようにしてくれ」

「ちょ…少しお待ちください」

あまりの発言に、思わず話を遮ってしまった。
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