仏の顔も三度までですわ!愛人と夫のツケ、すべて返していただきます

愛人の妊娠2

その後、シェリーナからの突撃はなくなった。
私に苦情を言っても事態が変わらないと理解してくれたのかな…。
シェリーナとデルバートさえ大人しくしてくれれば、ここでの生活は快適なんだよね。

ミラーネは順調に成長し、1歳を前にして歩き出し、いくつか言葉を話せるようになった。
まだ発音は不明瞭だけど、私のことを「かーしゃ(母さま)」と呼ぶことも。
正直、ちょっと複雑な心境だけど、母親だと認識している人物に思う存分甘えてくるミラーネを見ていると、これでいいんだって思える。
よく動き、よく食べて、よく笑うミラーネは、今やアーデン家のアイドルだ。
夜泣きも徐々に減ってきて、私もまとまって寝られる日が増え、体力にも少し余裕が出てきた。
育児と仕事の両立は大変だけど、周りの人たちの助けもあって、日々は充実していた。

でも、楽しい日々は長くは続いてくれなかった。
ミラーネの1歳の誕生日パーティーが盛大に行われて1週間後のこと。

「シェリーナが妊娠した。君には1週間後に別邸に移ってもらう」

いつ振りか忘れるくらい久しぶりにデルバートが寝室に現れたと思いきや、聞いた記憶のある台詞を発した。
私、タイムリープしてる?

「今後の流れは前回と同じだ。君には引き続き業務を行ってもらう」

呆然としている私に構わず、デルバートは説明を続ける。

「君も2度目だから慣れているだろう。説明は以上だ」

以上ですって…!?

「あの、ミラーネはどうなりますか?」

「ああ、君は育児もできないほどつわりが重い設定だから、乳母を雇って任せる」

そんな!と叫びそうになった自分を制して、私は冷静さを保とうと努力した。
< 48 / 137 >

この作品をシェア

pagetop