仏の顔も三度までですわ!愛人と夫のツケ、すべて返していただきます

ありえない

ランドリックの披露パーティーはつつがなく終了。
シェリーナは私からランドリックを奪うように抱っこし、憎々し気な視線を向けてから部屋に戻っていった。
本当は私にいろいろと言いたいことがあっただろうに、ミラーネとリフィールがいたから何も言えなかったのだろう。

どうなることかと思っていたけれど、再び始まった屋敷での生活は、平和で楽しいものだった。
ミラーネとリフィールは相変わらず可愛いし、仕事も充実している。
ちなみに、ランドリックが乳母に育てられていることについて、ミラーネとリフィールには「公爵家を継ぐため、特別な教育を受けるから」と説明するようにと、デルバートから言われている。

嫌悪感を持ってしまったデルバートと夫婦のふりをするのはしんどかったけど、接触は最低限だからなんとか耐えられた。
シェリーナとの接点は増えてしまったが、人目のある屋敷では私につっかかってこないので助かった。

ただ、気がかりなのはランドリックの笑顔が徐々に少なくなっていること。
ランドリックが生後半年になるころ、1カ月ぶりにパーティーで対面したときには、笑わず、そして泣きもせず、静かな赤ちゃんになっていた。
本当なら表情が益々豊かになるころなのに…。
ランドリックの変化に、私はとても嫌な予感がした。
そこで、私は意を決してランドリックの様子を見に行くことにした。
ランドリックの部屋は屋敷の最上階で、呼ばれない限り立ち入りを禁止されていたけれど、放置してはいけないと思った。
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