マリオネット

思わぬ再会

 次の日ーー。

「ねぇ、凪。今日、デートしよ」

「えっ。デート?」
 朝食を片付けている凪に話しかける。

「俺はもちろんいいけど。家でゆっくりしなくていいの?昨日は飲み会だったし、疲れてるでしょ」

 確かに疲れているという感覚はあった。
 せっかくの晴天、出かけたくなった。
 給料も入ったことだし、たまには凪と一緒に気分転換したいな。

「明日も休みだから、大丈夫」

「陽菜乃さん、行きたいところあるの?」
 食器を片付け終えた凪が、ソファにいる私の隣へ座る。

「そうだな。お買い物行きたいかも。凪の服も増やしたい」

「俺の服は別に」

「あと、甘い物食べたい」

「そっか。じゃあ行こうか。池袋とかで良い?新宿?」

「たまには池袋がいいな」

「わかった。俺、準備するけど、陽菜乃さんはどんなカッコして行くの?」
 ウィッグとか付けて行くのか?って聞きたいのかな。

「このままの私にお化粧して行くけど。ダメ?」

 やっぱり男の人なら、可愛い子と一緒の方がいいよね。見かけだけでも変えようかな。

「ううん。ダメじゃない。俺、今の自然な陽菜乃さんの方が好きだから」
 そう言って凪は洗面台に向かった。

 なに、今の。嬉しくなっちゃうじゃん。
 凪、狙って言ってるのかな。
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