マリオネット

思惑

 季節はもう冬を迎えようとしている。
 
 あっ、もうすぐ凪の誕生日じゃん。
 十二月十八日は彼の誕生日だった。

 ご飯食べに行ったり、プレゼント渡したいな。
 何がいいんだろう?
 そんなことを思いながら出社した。

 今日は、仕事多いな。
 資料を見ながら、確認をしていた。
 今日中にこれ、パソコンで処理できるかな。
 凪、面接だって言ってたし、残業はしたくない。
 頑張って終わらせようーー。



 うぅ。疲れた。
 気付けば定時を一時間過ぎていた。

 頑張ったつもりだったけれど、定時に終らなかった。

 凪に連絡しなきゃ。
 そう思いスマホを見る。凪から連絡が来ていた。

<面接終わりました!なんか結構人手が足りないみたいで、来週から働くことになりました!>

 そっか、それは良かった。
 社会に出る一歩だもんね。

<おめでとう!お祝いしなきゃね。連絡遅くなってごめん。これから会社を出るところなので、遅くなります>

 彼に返信し、帰宅の準備をする。
 
 そうだ、帰り道にケーキでも買って帰ろう。
 凪、どんなケーキがいいかな。
 
 そう考えながら退社をし、駅に向かう途中だった。

「陽菜!」
 聞き覚えがある声に呼び止められる。

「えっ?」
 後ろを向くと、そこには元彼の翔太郎が立っていた。スーツを着ており、バッグも仕事用だった。

 どうしてこんなところにいるの?
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