マリオネット

彼氏だから……

 いつも通り夕食を食べ、お風呂に入り、テレビを見てベッドへ。

「陽菜乃さん、明日は休みなんだからゆっくり寝てていいからね」
 電気を消そうとしている凪からそう言われた。

 そっか、明日はお休みか。
 良かった。凪と一緒に居ることができる。

「凪、今日もありがとう」

「特に何もしていないよ。おやすみ」

 そう言って彼は私の額にキスをして、電気を消してくれた。
 こんなに幸せでいいのかな。
 隣にいる凪を見る。真っ暗だが目が慣れてきて、どこからか漏れる光で彼の顔が見えた。

「カッコ良い」
 あっ、思わず声に出しちゃった。

「……。陽菜乃さんから言われるとテレるよね」
 もちろん彼にも聞こえてしまったみたい。

 目線が合う。
 そういえば、彼氏・彼女っていう正式に付き合うことになったのに、身体の関係がない。もっと凪に触れて欲しい。

 自分から誘うってどうなんだろう?

「どうしたの?」
 私が彼をずっと見つめていると、顔はあまり良く見えないが、不思議そうにしている凪の顔が想像できた。

「凪。私のこと好き?」
 こんなこと聞くなんて自分らしくない。

「大好きだよ」
 凪はすぐに答えてくれた。

 彼だったら私を受け止めてくれる。
 そう思った。
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