光の向こうへ

小さな冒険

六月の休日。
 兄は白衣では無く、カジュアルな服に着替えて咲を呼び出した。

 「ちょっと出かけよう」
 「え? どこに?」
 「内緒」

 咲は怪訝そうに眉をひそめたが、結局制服ではなく私服に袖を通した。
 鏡の前で少し髪を整える姿を、兄は台所からちらりと見て、胸の奥がくすぐったくなる。
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