光の向こうへ
置き去りの校庭
六月の朝は、やけに眩しい。
教室の窓から差し込む光に、咲は顔をしかめた。机の上には、兄から渡された薬のシートが忍ばせてある。朝食後に必ず飲むように言われたが飲まずに持ってきてしまった。
しかも咲はそれを筆箱の奥に突っ込んだまま、手をつけていなかった。
「おはよー咲」
明るい声で声をかけてくれる同級生がいる。けれど咲は笑顔を返せなかった。
「……うん」
その曖昧な返事に、相手の笑みは少ししぼむ。次の瞬間、会話は別の友人同士に移り、咲の席はぽっかりと孤島のようになった。
黒板に「体育祭練習」と書かれた時間割を見て、咲は心臓をぎゅっと握られるような気持ちになる。
今日は運動場でリレーの練習。もちろん、咲の名前は出場メンバーにはない。
教室の窓から差し込む光に、咲は顔をしかめた。机の上には、兄から渡された薬のシートが忍ばせてある。朝食後に必ず飲むように言われたが飲まずに持ってきてしまった。
しかも咲はそれを筆箱の奥に突っ込んだまま、手をつけていなかった。
「おはよー咲」
明るい声で声をかけてくれる同級生がいる。けれど咲は笑顔を返せなかった。
「……うん」
その曖昧な返事に、相手の笑みは少ししぼむ。次の瞬間、会話は別の友人同士に移り、咲の席はぽっかりと孤島のようになった。
黒板に「体育祭練習」と書かれた時間割を見て、咲は心臓をぎゅっと握られるような気持ちになる。
今日は運動場でリレーの練習。もちろん、咲の名前は出場メンバーにはない。