鬼課長は、ひみつの婚約者
第4話 暴露、そして愛の告白
六月下旬。梅雨の晴れ間がのぞく金曜日。
新規ブランドのプロモーション企画が成功に終わり、打ち上げが開かれることになった。
会場は、賑やかな居酒屋の個室だ。
「みんな、本当によく頑張ってくれた! 乾杯!」
部長の掛け声とともに、みんなが一斉に乾杯する。
会場は、プロジェクトの成功を祝う同僚たちの明るい声と笑い声で満ち溢れていた。まるで、嵐の前の静けさのように。
その賑やかさとは裏腹に、私の心はどこか落ち着かなかった。
私は、隣に座った佐伯さんの話に耳を傾けながら、グラスの烏龍茶を一口飲む。
真由は、瑛斗の隣に座ったんだ……。
「望月課長、お疲れ様です」
真由は、瑛斗に話しかけようと試みているようだった。
「今日の打ち上げ、楽しいですね!」
「……ああ」
真由が笑顔で話しかけても、瑛斗は短く答えるだけで、頻繁にグラスを傾けている。
彼女が何か話すたびに、彼はスマホに目を落とし、ほとんど視線を合わせようとしない。
そんな真由の様子を見て、私の胸はチクリと痛んだ。私は、その光景を直視できずに、そっと視線を逸らす。