すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~

16、因縁の再会

 セリスは私を見て、目を見開いた。
 次の瞬間、彼女は作り物みたいな笑みを浮かべて駆け寄ってきた。


「レイラ! レイラじゃないの! どうしてこんなところに? 会いたかったわ! 生きていたのね!」

 白々しいにもほどがある。
 けれど、子供たちの前で波風を立てるわけにもいかない。
 私は微笑みを作った。

「久しぶりね、セリス」
「あなたが嫁ぎ先へ向かう途中で行方不明になったと聞いて、毎晩泣いていたのよ。ああ、本当に心配したんだから。今はどこに住んでいるの? 伯父様には報告したの?」
「父には会っていないわ。追い出されたも同然だもの」
「追い出されたなんて……言い方が悪いわよ。父親に向かって」

 その言葉に反論する気も起きなかった。
 私は淡々と答える。


「今は彼のお屋敷にお世話になっているの。仕事もしているわ」

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