すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~

4、すべてを失った

 その夜、私は泥のように眠った。
 眠りは深く、けれど安らぎはなくて、悪夢の中に引きずり込まれるようだった。

 夢の中で、私の描いた絵が次々と人々から批判される。
「こんなものは価値がない」と冷笑され、キャンバスが裂かれる。
 床に滴り落ちる絵の具がまるで、私の涙のようだった。

 そしてシーンが切り替わり、目の前には結婚式の光景が広がった。
 純白のドレスに包まれたセリスが、幸せな笑顔を浮かべている。
 そのとなりでアベリオが一瞬だけ私を冷ややかに見つめて、すぐに表情を和らげるとセリスに優しく微笑みかけた。

 周囲から祝福の声と拍手が響きわたる。
 まるで私だけこの世界から切り離されてしまったかのようだ。


「どうして、なぜ……私がこんな屈辱を受けなければならないの?」

 涙が止まらない。
 声にならない叫びが胸の奥で震える。

 ああ、これはきっと、私の未来なんだわ。

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