すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~

3、裏切られました

「レイラ、君との婚約を破棄したい」

 久しぶりに会えたと思ったら、アベリオの口からそんな言葉を突きつけられた。

 一瞬で胸の奥がひやりと凍りついた。
 やっと彼に会えるからと、私は洗濯しておいた中で一番綺麗なドレスを選び、髪を念入りに整え、少しでも美しく見えるように化粧を施した。
 それなのに、私を見た彼の表情は陰鬱だった。その目に私は映っていないようだ。

「……理由を、教えて」

 声が震えるのを必死に抑えながら問いかける。
 すると彼は険しい表情で答えた。

「僕はもう、君への愛情を失っている」

 心の中で繊細なガラスがひび割れていく音がする。
 何が起こっているのかわからず混乱する頭で、どうにか思い当たる理由を問いかける。

「そんな……なぜ? なかなか会えなかったからなの?」
「そうだよ」

 容赦ない肯定に、息が止まりそうになる。

「でも……それは仕方がなかったの。ずっと仕事の依頼が続いて、外出も許されなくて……」

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