すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~

9、衝撃の事実

 マーク・ハルトマンという人と対面したとき、不思議な気持ちになった。
 初めて会った人なのに、なぜかとても懐かしくなった。

 そうだわ。あの人の目が私と似ているからだわ。

 彼は淡い金髪で中肉中背、とても穏やかな紳士といった雰囲気だった。
 その瞳の色は透き通るような淡いブルーで、私もよく似た色をしている。
 
 ハルトマン様はすごく物腰のやわらかい人だから安心した。
 エリオスからカルベラへの旅行を提案されて、実は少し躊躇していたのだけど、彼のような人が一緒なら旅先でも安心だわ。


「お疲れですか? レイラ様」
「サイラスさん」
「体によいお茶です。カルベラの土産にとハルトマン様がくださったのです」

 侍女が私の目の前のテーブルでお茶を淹れてくれた。
 ふわっと柑橘系の香りが漂う。

「いただきます」

 ひと口飲むと少しスパイシーな味がして、芳醇な香りが口いっぱいに広がった。

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