すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~

10、後悔するといい(アベリオ)

 今日は公爵家主催のパーティだ。
 そして、僕のとなりにはセリスがいる。
 彼女は大きなリボンとレースがあしらわれたピンクのドレスに身を包み、周囲へ愛らしい笑顔を振りまいていた。

 大広間には豪華なシャンデリアが会場全体を黄金色に染めている。
 華やかな音楽と人々の談笑に満ちる会場内で、なぜか僕だけが別の世界に立っているような感覚に囚われていた。

 本来、このパーティにはレイラと出席するはずだった。
 だが、彼女は他に男を作って僕を裏切ったのだ。


 レイラ、君のことをこれ以上責めるのはやめようと思う。
 そもそも、君の本性を知らずに一目惚れしてしまった僕が悪いんだ。

 君があんなに悪女だったなんて、今でも信じられないよ。


 だけど、僕は見てしまったんだ。
 君が他の男と出歩いているところを。

 しかも、君はその男と口づけを交わしていた。
 背後から見たからはっきりしていないが、抱き合っているということは、そういう関係なのだろう。

 僕はショックで数日眠れなかったよ。

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