召喚された司書の相談所〜偽装結婚ですが旦那様にひたすら尽くされています〜
第1章 偽装夫婦の日常

第1話 同居人は世話好き

 朝、目が覚めると、すでにカーテンが開けられていた。陽の光が、余すことなく部屋の中を満たし、灯りを付けたかのように明るい。
 お陰で隣のベッドが空になっていることに気がついた。

 相変わらず早い……。

 未だに先に起きられた試しがなくて、私は恨めしそうに、綺麗に整えられたベッドを眺めた。

「いけない。あまりのんびりしていられないんだった」

 部屋にいるのは私だけだったが、隅にある衝立の奥へと向かい、手早く着替えを済ませる。シャツとスカートとブーツだけ、というお洒落よりも機能性を重視したスタイル。けれど、忙しい朝にはピッタリなチョイスだった。

 しかも黒髪の私に似合う深緑色のジャンパースカート。昨夜、準備した覚えがないから……。

「また用意してくれたのね」

 何を着ていくか、迷う私のために。
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