召喚された司書の相談所〜偽装結婚ですが旦那様にひたすら尽くされています〜

第21話 調べ物は色々な角度から

 その日から私は、図書館に出勤するのが楽しくて仕方がなかった。勿論、それまでも楽しかったのだが、相談所では毎日ドキドキしてしまい、楽しいというよりかはプレッシャーに押しつぶされそうな気分になっていた。

 相談者の意図する内容を汲み取れているか。カードを上手く読めているか。相手の求めているアドバイスは?

 自分では気軽に受け取ってください、と言っておきながら、内心はヒヤヒヤしたものだった。それは相談所の役割も同時に担っていたからかもしれない。相談所の評判が、今の図書館を支えている。

 けれど今は違う。一日複数人を相手にしなくてもいい。たった一人の調べ物のお手伝いに集中できるのだ。マックスが来るまでは、禁書区画前のスペースで待機。休憩時間もそこで取るようにすることによって、ラモーナの手伝いも遂行していた。

「アゼリアさん。今日もよろしくお願いします」

 早速、今日もマックスがやってきた。彼と初めて会った場所を待ち合わせにしている、というのも、なんともおかしな話である。

 あの日、どうしてそこまで粘ったのか、やはり気になって、調べ物を始める前に尋ねた。すると、「調べても出てこないものは、もうあそこしかない、と思ったからです」と言われてしまった。
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