召喚された司書の相談所〜偽装結婚ですが旦那様にひたすら尽くされています〜

第3話 強引なところも

 あの場にいることが、どれほど危険なのかは分からない。けれど初対面の相手を横抱きにするほどのことだ、ということは理解できた。

 彼の反応を見る限り、尋常でもなさそうだし、ここは大人しくしていよう。暴れてこの顔に傷がついたら、大惨事だ。この世界の女性に恨まれてしまうかもしれない。

 そんな私の心境とは裏腹に、彼はすぐにこの場を離れようとはしなかった。危険だと言っていたのにもかかわらず、である。

 辺りを見渡しているところから、どちらへ行くのか決めかねているのかもしれない。今は下手に話しかけないでおこうと思った矢先、彼が何かに気づいた様子だった。すぐに近くの草むらに移動したのだ。

 どうして、こんな近くに?

 私を横抱きにしたまま、彼が腰を下ろしたからだ。さらに密着したような気がしたが、気にしている暇など、私たちにはなかった。

「おい、いないぞ。ここにいるんじゃないのか?」

 突然、さっきまで私たちがいた場所から声が聞こえたのだ。視線を向けると、頭から黒いフードを被った二人組の姿が見える。
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