召喚された司書の相談所〜偽装結婚ですが旦那様にひたすら尽くされています〜

第22話 ただの見送りなのに

「それじゃ、また明日」
「はい。よろしくお願いします」

 結局、あの後も私が用意した本を互いに読んでいたら、閉館ギリギリとなってしまった。できれば話し合いや照らし合わせなどをしたかったのだけれど……さすがにそこは私の入れる領分ではない。

 それにこれは元々、マックスの調べ物だ。私が色々と手伝っていても、判断するのは彼であり、納得できる領域も彼次第なのである。ここまで一緒に調べていたから、最後まで付き合いたい気持ちはあった。けれどそんなことは、所詮できないのだ。

 私はあくまでも司書だから、と思いながら、図書館の外まで見送る。手伝えるのは一週間限定だから、せめてこれくらいはしてあげたかったのだ。

 マックスの背中に向かって手を振っていると、突然、誰かに掴まれた。

「ぐ、グリフィス!?」

 手首を掴まれた先を目で追うと、眉を顰めたグリフィスがいた。見慣れない顔だったが、そんな姿も様になるだから、さすがだと思った。

 いやいや、見惚れている場合じゃない!
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