召喚された司書の相談所〜偽装結婚ですが旦那様にひたすら尽くされています〜

第23話 呼び出した末(グリフィス視点)

 アゼリアが図書館の扉の向こうへと姿を消す。離れていく瞬間から、いいようのないほどの寂しさを感じた。伸ばそうとする手を下げ、グッと握り締めるほど必死に我慢をする。

 そんなことをすれば、先ほどのように怒られてしまうことだろう。だから、視線を図書館とは別の方向へと向けた。そう、最近アゼリアが世話をしているという、男の方へ。もう姿は見えないが。

 確か……マックスといったか。

 相談所のことで悩んでいたから、休憩がてら別の仕事を勧めたのに、その先で出会った男。何を調べているのかアゼリアに聞いたところで、守秘義務があるから、と断れてしまうだろう。

 ならばどうするか……ここは原因を作った人間に落とし前をつけてもらおうか。

 私はアゼリアを待ちながら、ある人物を呼び出す算段を考えた。
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