召喚された司書の相談所〜偽装結婚ですが旦那様にひたすら尽くされています〜

第25話 ヘルガの忠告

 そう思っていたのに、私は翌日、マックスの前でやらかした。一緒に調べ物をし、参考になる本を読んでいる最中に、あろうことか、眠ってしまったのだ。

「アゼリアさん、そろそろ起きてください」
「んん~」
「もうすぐ閉館の時間ですから」

 閉館、という言葉で、私は勢いよく顔を上げた。幸いにも顔を腕の上に乗せていたお陰で、本は汚れていない。その代わり、服の跡が顔についていないか、心配になった。時々やらかしてしまうことがあるからだ。

「仕事中に寝るなんて……こんな時間になる前に声をかけてくればいいのに」
「お疲れだと思ったんです。連日、僕の調べ物につき合ってもらっていることもあって」
「それでも……これじゃ、職務怠慢だわ」

 しかも利用者の前で、なんて他の職員に見られたら、言い訳ができない。いや、そもそもここには他の利用者もいるのだ。

 どうしよう。ここの評判が下がってしまうかも……!
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