召喚された司書の相談所〜偽装結婚ですが旦那様にひたすら尽くされています〜
第3章 甘くて苦い日常
第33話 始まりと因縁の場所
冬から春になり、季節が一つ進もうとしている。相変わらず相談所は再開できていないが、私とグリフィスはとある場所にやってきていた。
「ここが、ジェマナキア遺跡です」
「かつてウサギ獣人たちが住んでいたところであり、ウルリーケ、さんが最後に隠れ住んでいたところ……」
騙されていたとはいえ、マックスの調べ物で、この遺跡の歴史やウサギ獣人たちの生態などの本を読んでいたからか、とても感慨深くなる。
けれど本に描かれていた遺跡と、目の前の遺跡とでは、形が異様に違う。土壁の面積はもっとあったし、高さだってこんなに低くない。雨水に晒されて劣化したのなら分かるが、この崩れ方は明らかに違うことが窺えた。
さらに異様なのは、遺跡の周辺に草が生えていないことだった。
私に正体がバレてからというものの、グリフィスはよく、ウサギの姿に戻る。始めは疲れからだと思ったが、あの姿の方が余計な力を使わなくて済むメリットがあるからなのだろう。あのグリフィスが、意味もなくウサギの姿に戻るとは思えないのだ。
たとえウサギ獣人だからといって、普通のウサギのように草を食べるわけではない。けれど、寝床を整えたり、家の中を飾り立てたり、色々とできる。
だけど、それもない遺跡というのは……。
「ここが、ジェマナキア遺跡です」
「かつてウサギ獣人たちが住んでいたところであり、ウルリーケ、さんが最後に隠れ住んでいたところ……」
騙されていたとはいえ、マックスの調べ物で、この遺跡の歴史やウサギ獣人たちの生態などの本を読んでいたからか、とても感慨深くなる。
けれど本に描かれていた遺跡と、目の前の遺跡とでは、形が異様に違う。土壁の面積はもっとあったし、高さだってこんなに低くない。雨水に晒されて劣化したのなら分かるが、この崩れ方は明らかに違うことが窺えた。
さらに異様なのは、遺跡の周辺に草が生えていないことだった。
私に正体がバレてからというものの、グリフィスはよく、ウサギの姿に戻る。始めは疲れからだと思ったが、あの姿の方が余計な力を使わなくて済むメリットがあるからなのだろう。あのグリフィスが、意味もなくウサギの姿に戻るとは思えないのだ。
たとえウサギ獣人だからといって、普通のウサギのように草を食べるわけではない。けれど、寝床を整えたり、家の中を飾り立てたり、色々とできる。
だけど、それもない遺跡というのは……。