召喚された司書の相談所〜偽装結婚ですが旦那様にひたすら尽くされています〜

第34話 遺跡の中で

「私のことも、ですか?」
「うん。折角、話をしてくれるのなら、一緒に聞きたいかな、と思って。たとえば、ウルリーケとの仲とか。最初の頃はどうだったの?」

 仲が悪い、なんて思いたくはなかったため、私は優しい口調でグリフィスに語り掛けた。

 まさかここで、相談所をやっていた経験が役に立つとはね。だけどこれで、グリフィスが落ち着いて話をしてくれるのなら、なんだって構わない。

「……仲は、良かった方だと思います。そもそも家事が得意になったのも、ウルリーケのお陰ですし」
「そうなの? 元々、好きなのかと思ったわ」
「おそらく、それもあったのかもしれません。けれど、魔術師としての腕や情熱を傍で見ている内に、支えたい、と思えるようになったんです」

 それは分かるような気がした。現にグリフィスは、私を支えてくれていたからだ。あれは慣れていなければ、できないことだろう。
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