召喚された司書の相談所〜偽装結婚ですが旦那様にひたすら尽くされています〜
第35話 困惑する日常
私たちはその後、遺跡の内部をサラッと見ただけで、帰宅した。この世界で初めての旅行だったが、終始悲しそうな表情でいるグリフィスを見るのが忍びなかったからだ。
誰かの思い出の地だからこそ、もっと見たい私と、辛い記憶でも向き合いに来たグリフィス。それも本人の希望ではなく、私の望みとして。
だから他に観光することもせずに帰宅するのが、ベストのような気がしたのだ。寛げる我が家へと。
「やっぱり、その姿の方が楽なの?」
一日の行程を終えたグリフィスは、カップを一つ持ってリビングに現れた。テーブルに「どうぞ」と置く姿を見て、当然「グリフィスのは?」と聞いた瞬間、すでにその予定でいたのか、ウサギの姿になって私の膝に飛び乗った。
「最近、そうやって私の膝に乗るわよね」
「嫌ですか?」
その姿で問いかけるのは卑怯というものである。膝枕をされたこともしたこともないけれど、人一人分の頭の重さを膝が受け止めるのだ。ロマンチックかもしれないけれど、膝への負荷を考えると……。
誰かの思い出の地だからこそ、もっと見たい私と、辛い記憶でも向き合いに来たグリフィス。それも本人の希望ではなく、私の望みとして。
だから他に観光することもせずに帰宅するのが、ベストのような気がしたのだ。寛げる我が家へと。
「やっぱり、その姿の方が楽なの?」
一日の行程を終えたグリフィスは、カップを一つ持ってリビングに現れた。テーブルに「どうぞ」と置く姿を見て、当然「グリフィスのは?」と聞いた瞬間、すでにその予定でいたのか、ウサギの姿になって私の膝に飛び乗った。
「最近、そうやって私の膝に乗るわよね」
「嫌ですか?」
その姿で問いかけるのは卑怯というものである。膝枕をされたこともしたこともないけれど、人一人分の頭の重さを膝が受け止めるのだ。ロマンチックかもしれないけれど、膝への負荷を考えると……。