召喚された司書の相談所〜偽装結婚ですが旦那様にひたすら尽くされています〜

第5話 興味津々の友人

 私のいた世界でもそうだが、この世界でも図書館の需要は下がりつつある。建物が古いのは、街並みを配慮したからなのか。はたまた建て替えができないからなのか。それは定かではない。

 分かっているのは一つだけ。利用者の減少により、修繕費を国から請求することができない、ということである。何処の世界でも、お金が絡むと世知辛くなってしまうらしい。
 しかし、そう嘆いてばかりはいられない。図書館の老朽化は待ってくれないのだから。

 そこで色々と案を持ち寄ったのだが、私がこの図書館に来た時にはすでに、やり尽くした後だったという。いくらグリフィスの伝手とはいえ、この世界ではなんの経験もない私が、すぐに図書館で働けた理由が、まさにそれだったとは露にも思わず、驚きを隠せなかった。
 新たな発想を取り入れたい、という考えは前向きで、むしろ協力したいとは思ったけど……。

「まさか私の趣味を採用されるとは思わなかったわ」

 ヘルガと一緒に、図書館へと入った私は、利用者の耳に入らない場所まで進んでから、ボソッと呟いた。
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