召喚された司書の相談所〜偽装結婚ですが旦那様にひたすら尽くされています〜

第7話 隙だらけのアゼリア

「それで……どうしてグリフィスも帰宅しているの?」

 私の声など、どこ吹く風。鍵を渡してほしいと要求したのにも関わらず、グリフィスは本屋を閉めて私たちと共に帰宅したのだ。

 まぁ、あの本屋自体、グリフィスが経営しているわけだから、開けるのも閉めるのも本人次第だから、何も問題はない。しかも図書館同様、本屋も閑古鳥が鳴いている状態である。だから日中働いていても、定時に私を迎えに来ることができていたのだ。

 それでいいの? とは思うものの、無理をしているような素振りは一切見られないのだから、私が口を出すわけにはいかなかった。グリフィスなりに考えがあってのことなのだろう。

 けれど今回のことは……少し意味が違うような気がした。

「お客様を招くのですから、当然でしょう」
「別に家主がいなくても大丈夫よ?」
「では、お茶の準備など、アゼリアだけでできるのですか?」

 まるで何もできない子のように言うが、実際どこにお客様用のカップがあるとか、茶葉があるのか。私は何も知らなかった。
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