召喚された司書の相談所〜偽装結婚ですが旦那様にひたすら尽くされています〜

第8話 怖がらないで

 結局、布選びなどもあり、リビングに到着した私の隣にはグリフィスの姿があった。けれどヘルガは驚くような素振りもなく、まるで予想していたかのような態度をしていた。

「ごめんね。遅くなって」
「いいのよ。それよりもアゼリアの方は大丈夫?」
「何が?」
「ほら、いきなり押しかけたでしょう? お小言とかあったのかなって」

 ヘルガは心配そうに言いながらも、私の隣に当然のように座るグリフィスへと視線を向けた。

「大丈夫ですよ。小言など述べていませんから」
「本当?」
「失礼ですね。当人を前にして」
「二人ともストップ! 遅れた理由は、そういうのじゃなくて、ただ準備に手間取っただけなの」
「準備?」

 テーブル越しに座るヘルガが、首を傾げた。
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