召喚された司書の相談所〜偽装結婚ですが旦那様にひたすら尽くされています〜

第11話 ヘルガの胸の内

 この世界で初めて占いをしてから二カ月。ヘルガは宣言通り、素敵な恋人を見つけた。とはいえ、占いの後すぐに出会ったわけではない。

 パーティーがあると聞けば参加し、集会にまで顔を出す始末。ヘルガは文字通り、目と耳とを屈して、地道に見つけ出したのだ。すでに途中から出会いとは? という次元だったが、そこはもう関係ない。ヘルガは自ら運命の相手を探し出したのだから、とやかくいうのは野暮である。

「ありがとう、アゼリア。あなたのお陰よ」
「ううん。これは……占い関係なく、ヘルガの努力の賜物だよ」

 間違いなく、と自信を持って断言できる。

 けれど私の両手を握りしめるヘルガの眼差しは、けして悪ノリしているようには見えなかった。むしろ、心の底から感謝しているのが、痛いほど伝わってきたほどである。
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