召喚された司書の相談所〜偽装結婚ですが旦那様にひたすら尽くされています〜

第16話 休むことも大事

「はぁ~」

 今日、朝一番の占いを思い出すだけで、口からため息が零れた。目の前に出された食事からは、美味しそうな匂いがしてくるのに、フォークを持つ手がなかなか伸びない。

「どうかしたのですか?」

 グリフィスの声にハッとなる。私がこんな態度をしていれば、彼が心配そうに私の顔を覗き込むことは分かっていたのに。それでも隠せなかった。
 この家を住み心地よくしてくれたグリフィスのお陰で、帰宅した途端、私の心は武装を解除してしまうのだ。

「ちょっと、ね」

 あまり自分の失敗を口に出したくない。それを分かってほしいというのは、都合のいい考えだろうか。

 視線を逸らすように顔を横に向けたが、グリフィスは……やはり諦めてくれなかった。頬に当たる視線が痛い。
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