休暇中の御曹司と出会ったら、愛され過ぎてもう無理です。
5.それはズルすぎるから駄目
次のゴミ出し日、私はゴミ袋を持ったまま玄関で靴を履いて固まっていた。

外に出る勇気が出なくて、玄関でただ立っている意味が分からない状況。

前回の食事会で、古賀さんはこう言った。


『次のゴミ出しの時間。変えないでね』


そんなことを言われて意識しない方が無理だし、扉を開けて隣に視線を向けたら古賀さんがいるのではないかと勘繰(かんぐ)ってしまう。

それでも私は今日が出社日で、これ以上ゴミ出しの時間を伸ばすわけには行かない。

ここは勇気を出して、ゴミ出しに行くしかない。

ゴミ出しに勇気を出すって自分でもよく分からないけれど、少なくとも今までのゴミ出しで一番緊張しているのも事実だった。
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