幼馴染の執着は甘く蕩ける〜私をフッた外交官が、結婚したら毎夜猛愛を貫いてきまして……?
七章 奏君の気持ち
「奏一さんには、心に決めた女性がいて、それも同級生かもしれないって……なにそれ――!?」
――そうは思っても、誰かに相談せずにはいられなかった。
七月の最後の土曜日。フランスから帰国してひと月が経過し、あっという間に夏真っただ中を迎えていた。
今年の猛暑も実に厳しいが、我が社にとってこの時期は繁忙期。ビジネス展開や物流のピークの影響で業務量が増加する時期である。
奏君の方も通常業務に加えチャリティー音楽祭を控えており、帰国後も変わらず忙しい。結局二人の時間もなかなか取れていない私は、仕事帰りに由香を居酒屋に誘いだし、七年前のことからフランスでの出来事を赤裸々に話し聞いてもらっていた。
「帰り際にその愛梨さんて方が言ってたの……ただただびっくりしてちゃって――」
もう一度奏君に恋をして、せっかく、七年前のことに区切りをつけられそうだと思えたのに、とんでもない爆弾が落ちてきた気分だった。
帰国してから折を見て奏君に事実確認しようと考えていたが、なかなかそんなタイミングには恵まれずに……今日まできてしまった。