幼馴染の執着は甘く蕩ける〜私をフッた外交官が、結婚したら毎夜猛愛を貫いてきまして……?
一章 再会した初恋の幼馴染と

 

 人間誰しも、夢を持ったことがあるだろう。
 将来なりたい職業や、どんな自分になりたいとか、大なり小なりいくつかは目標を持ったことがあると思う。
 かくいう私、木下(きのした)(かえで)もそうである。
 幼い頃にもった輝かしい夢は途中で挫折したけれども、せめて、唯一の家族である兄だけは安心させてあげたいと思っていた。
 幸せな結婚をして、子供を産んで……

 ――それなのに。


「ぁぁっ、あっ、浩太(こうた)先輩……もっと、激しくしてぇ~……」

「はっ、可愛すぎ……もうこんな悦いいんじゃ、楓なんかとできねぇわけだよな――」


 ――いったい、私は何を見せられているんだろう……?

 立ち尽くしたまま唖然とする。
 商社・竹本商事の繁忙期。四半期決算を終えた三月某日の仕事終わり。
 同僚で交際して三年になる彼氏の相田(あいだ)浩太(こうた)と久しぶりにご飯でも行けたらと思って、終業後、所属する海外事業部から彼のいる営業部に顔を出した。

 ところが、彼の姿が営業部には無く、彼が向かったと聞いた倉庫へ行ったら、そこは一見無人だった。
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