その優しさに溺れる。〜一線を超えてから、会社の後輩の溺愛が止まらない〜
その手を離せない。
「……ようやく、終わりましたね」
パソコンをシャットダウンし、湊がふっと息をつく。
時計は22時を回っていた。
会議資料の最終チェック、プレゼンの調整、急ぎのメール対応。途中、トラブルもあった。
気づけば、ふたりだけが残っていた。
「今日だけで、一週間分働いた気がする」
思わず漏らす詩乃に、湊が小さく笑う。
「深雪さんでも、そんなこと言うんですね」
「え、何それ。こんなに残ったらさすがに疲れるよ?」
「はい。でも毎日、誰かのために残って、黙々と働いている姿、凄いなって思ってたので」
思わず胸が跳ねる。どうしてこの人に言われると、こんなに心が揺れるのだろう。
「この時間だと社食も閉まってますよね。夕飯、まだですよね?」
「あ、うん。バタバタしてて……」
「じゃあ、少し付き合ってもらえますか。近くに美味しい居酒屋があるんです」
「……いいの? 遅くなっちゃうかも」
「むしろ、お腹空いてるので、付き合ってくれると助かります」
自然な流れで、断る理由もない。
心のどこかで小さな違和感はあったけれど、目を向けなかった。
パソコンをシャットダウンし、湊がふっと息をつく。
時計は22時を回っていた。
会議資料の最終チェック、プレゼンの調整、急ぎのメール対応。途中、トラブルもあった。
気づけば、ふたりだけが残っていた。
「今日だけで、一週間分働いた気がする」
思わず漏らす詩乃に、湊が小さく笑う。
「深雪さんでも、そんなこと言うんですね」
「え、何それ。こんなに残ったらさすがに疲れるよ?」
「はい。でも毎日、誰かのために残って、黙々と働いている姿、凄いなって思ってたので」
思わず胸が跳ねる。どうしてこの人に言われると、こんなに心が揺れるのだろう。
「この時間だと社食も閉まってますよね。夕飯、まだですよね?」
「あ、うん。バタバタしてて……」
「じゃあ、少し付き合ってもらえますか。近くに美味しい居酒屋があるんです」
「……いいの? 遅くなっちゃうかも」
「むしろ、お腹空いてるので、付き合ってくれると助かります」
自然な流れで、断る理由もない。
心のどこかで小さな違和感はあったけれど、目を向けなかった。