継母に無能と罵られてきた伯爵令嬢ですが、可愛い弟のために政略結婚をいたします
第10話 「婚前旅行に行ってらっしゃい」
継母が行ってきた数々の仕打ちと浪費癖についてヴィンセント様たちにお話したら、ローゼマリア様は喜んで協力すると言って下さった。
ヴィンセント様も、当然のように頷いてくださり、願ってもない協力者が出来たことに、私は思わず涙を流してしまった。
感極まった私に向かって、ローゼマリア様は、唐突な提案をされたわ。
「二人で婚前旅行に行ってらっしゃい」
「……え、婚前、旅行?」
「婚礼は一か月後に行いましょう。その前に、アーリックへ報告に行ってらっしゃい」
「で、ですが……こうしている間にも、継母はレドモンド家の財産を──」
「心配ありませんよ。それに、協力者が一人でも多いに越したことはないですからね」
困惑する私をよそに、ローゼマリア様は「そうと決まったら旅支度をしなければなりませんね」と言いながら立ち上がった。
上機嫌な様子でベッドを離れると、若いメイドたちを呼び集め始める。
何やら指示を出しているローゼマリア様の姿を呆然と見る私は、断ることもできずにおろおろするしかなかった。
ヴィンセント様も、当然のように頷いてくださり、願ってもない協力者が出来たことに、私は思わず涙を流してしまった。
感極まった私に向かって、ローゼマリア様は、唐突な提案をされたわ。
「二人で婚前旅行に行ってらっしゃい」
「……え、婚前、旅行?」
「婚礼は一か月後に行いましょう。その前に、アーリックへ報告に行ってらっしゃい」
「で、ですが……こうしている間にも、継母はレドモンド家の財産を──」
「心配ありませんよ。それに、協力者が一人でも多いに越したことはないですからね」
困惑する私をよそに、ローゼマリア様は「そうと決まったら旅支度をしなければなりませんね」と言いながら立ち上がった。
上機嫌な様子でベッドを離れると、若いメイドたちを呼び集め始める。
何やら指示を出しているローゼマリア様の姿を呆然と見る私は、断ることもできずにおろおろするしかなかった。