継母に無能と罵られてきた伯爵令嬢ですが、可愛い弟のために政略結婚をいたします

第4話 継母は有能な魔女?

 継母がペンロド公爵夫人の邸宅に向かってから、十日が過ぎた。

 ペンロド公爵夫人は王都に住まわれている。レドモンド領からは馬車で片道四日ほどかかる。当然だけど、お茶会は王都の邸宅で行われるし、めったなことで夫人がレドモンド領を訪れることはない。

 流行が生まれる華やかな王都へ、意気揚々と向かった継母が、遊ばないで帰ってくるなんてことはないだろう。毎回、少なくても五日は滞在している。

 その間はレドモンドの屋敷は穏やかで、笑顔が絶えない。私の仕事も(はがど)って助かるから、継母がお茶会に出掛けるのはありがたかったりする。

「ただねぇ……」

 帳簿を前にして、頭が痛くなった。
 この睨めっこは今日に限ったことではないし、頭痛だっていつものこと。とはいえ、改めて数字を見るとどこから補填をするか悩ましくも思うわけだ。
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