継母に無能と罵られてきた伯爵令嬢ですが、可愛い弟のために政略結婚をいたします
第7話 ロックハート侯爵様は着せ替え人形がお好き?
しばらくして馬車が停まった。
決意を新たにし、外に足を踏み出した私は、そのお屋敷を見上げて息を飲んだ。
バラの蔦に彩られた姿は、まるで絵本に出てくるような美しいお城だわ。馬車道を挟んで広がる庭園も、隅々まで手入れが行き届いているし、妖精がひょっこり顔を出しそう。
「やっと、会えましたね。ヴェルヘルミーナ嬢」
美しさに飲まれるようにしていた私に、穏やかな笑みを浮かべたご婦人が声をかけてきた。
優しい声は、まるで亡きお母様を思い出させるようで、胸が熱くなった。
「お初にお目にかかります。ロックハート侯爵様」
ドレスの裾をそっと上げ、足を引いてカーテシーを披露する私の心臓は、緊張で早鐘を打っていた。
「どれほど今日を待ち望んだことでしょう」
「お茶会のお誘いを何度もお断りしてしまい、申し訳ありませんでした」
「いいのよ。貴女の立場を、私なりに理解しているつもりです」
「ありがたきお言葉、感謝申し上げます」
「固い挨拶はそれくらいにしましょう」
侯爵様は私の手をとると、さあといってお屋敷に招き入れた。
決意を新たにし、外に足を踏み出した私は、そのお屋敷を見上げて息を飲んだ。
バラの蔦に彩られた姿は、まるで絵本に出てくるような美しいお城だわ。馬車道を挟んで広がる庭園も、隅々まで手入れが行き届いているし、妖精がひょっこり顔を出しそう。
「やっと、会えましたね。ヴェルヘルミーナ嬢」
美しさに飲まれるようにしていた私に、穏やかな笑みを浮かべたご婦人が声をかけてきた。
優しい声は、まるで亡きお母様を思い出させるようで、胸が熱くなった。
「お初にお目にかかります。ロックハート侯爵様」
ドレスの裾をそっと上げ、足を引いてカーテシーを披露する私の心臓は、緊張で早鐘を打っていた。
「どれほど今日を待ち望んだことでしょう」
「お茶会のお誘いを何度もお断りしてしまい、申し訳ありませんでした」
「いいのよ。貴女の立場を、私なりに理解しているつもりです」
「ありがたきお言葉、感謝申し上げます」
「固い挨拶はそれくらいにしましょう」
侯爵様は私の手をとると、さあといってお屋敷に招き入れた。