継母に無能と罵られてきた伯爵令嬢ですが、可愛い弟のために政略結婚をいたします
第8話 バラの庭園に現れる魔法陣
アーリック族は、王国とは異なる秩序の中で生きている。爵位に興味など持っておらず、国政には関与していない。その血が外に出ることも快く思っていないだろう。それでも、ロックハート家に養子として預けることを長が許したのは、長年の交易を結んできたおかげだった。
そう話しながら、ローゼマリア様は執務室を後にして、静かな廊下を進んだ。
「……つまり、庶子であるヴィンセント様は、爵位を得たとしても跡継ぎに選ばれない。次男様がいる今、異を唱える家門もない、ということですね?」
「ふふふっ、ヴェルヘルミーナは本当に賢いわね」
実に楽しそうに仰られるローゼマリア様は、私を振り返った。
「ヴェルヘルミーナ」
「はい、ローゼマリア様」
「ヴィンセントが私の後を継ぐことはありません。それでもこの結婚は、あなたにとって、とても魅力的ですよ」
「え……?」
そう話しながら、ローゼマリア様は執務室を後にして、静かな廊下を進んだ。
「……つまり、庶子であるヴィンセント様は、爵位を得たとしても跡継ぎに選ばれない。次男様がいる今、異を唱える家門もない、ということですね?」
「ふふふっ、ヴェルヘルミーナは本当に賢いわね」
実に楽しそうに仰られるローゼマリア様は、私を振り返った。
「ヴェルヘルミーナ」
「はい、ローゼマリア様」
「ヴィンセントが私の後を継ぐことはありません。それでもこの結婚は、あなたにとって、とても魅力的ですよ」
「え……?」