継母に無能と罵られてきた伯爵令嬢ですが、可愛い弟のために政略結婚をいたします
第9話 十才にも満たない記憶はおぼろげな夢のよう
私、そんなに笑われるような格好をしているかしら。
こんなに可愛らしいドレスを着たのは幼い頃以来だし、着なれてないから、着せられてる感があるのかもしれない。でも、笑われるほどではないと思うのよ。ダリアが選んでくれてローゼマリア様が喜んでくださったのだから。
少し腹立たしくなってきたわ。
「私、そんなにおかしな格好をしていますか?」
少しだけ語気を強くすれば、ヴィンセント様は「すまない」と言いながらこちらを見た。だけど、すぐに視線を逸らされた。
まだ、笑うのを堪えているわね。
何がそんなにおかしいのかと、胸元を見たり、ドレスの裾を少し持ち上げてみた。すると、視界に白いハンカチを持ったヴィンセント様の手がすっと入ってきた。
「口元に、砂糖菓子の欠片がついていてね」
「……えっ?」
「ほら、こっちを向きなさい」
ごつごつとしたヴィンセント様の指が、私の顔を彼の方に向けたかと思うと、柔らかなハンカチが口元をそっと拭ってくれた。
こんなに可愛らしいドレスを着たのは幼い頃以来だし、着なれてないから、着せられてる感があるのかもしれない。でも、笑われるほどではないと思うのよ。ダリアが選んでくれてローゼマリア様が喜んでくださったのだから。
少し腹立たしくなってきたわ。
「私、そんなにおかしな格好をしていますか?」
少しだけ語気を強くすれば、ヴィンセント様は「すまない」と言いながらこちらを見た。だけど、すぐに視線を逸らされた。
まだ、笑うのを堪えているわね。
何がそんなにおかしいのかと、胸元を見たり、ドレスの裾を少し持ち上げてみた。すると、視界に白いハンカチを持ったヴィンセント様の手がすっと入ってきた。
「口元に、砂糖菓子の欠片がついていてね」
「……えっ?」
「ほら、こっちを向きなさい」
ごつごつとしたヴィンセント様の指が、私の顔を彼の方に向けたかと思うと、柔らかなハンカチが口元をそっと拭ってくれた。